(CC:○○)は当市と本市、どちらを書くべき?

こんにちは、元市役所職員でビジネスメール講師として活動しています、オフィスミカサの長野ゆかです。

見解が分かれる当市と本市

毎日アクセスが多いこちらのページ。それだけ、悩んでいる方が多いということですよね。
自分が勤めていた時、メールを書くときに迷い、調べました。答えが全然なくて先輩や周囲に聞きました。
「Cc欄なんてどうでもいい派(伝わればOK)/どっちも違う気がする派(聞いたことない)/そこは厳密だ派(法務部門出身)」
企業さん相手に送るメールで、失礼なことはしたくないと思った若い当時の私は、困りましたね~。
そんな当時の自分のように困っているみなさんに向けて考え方をご紹介します。

ちなみに、2017年6月に「この1冊で安心!!新人公務員のメールの書き方」という本を学陽書房さんから出版しています。この第3章に「CCに入れた職員の所属は本市?当市?」という項目を入れていただいており、以下について掲載いただいています。お買い求めいただけると嬉しいです。

前提として、CCに誰かを指定した場合(CC:○○)を入れるのは基本

CCの受信者がいる場合

────────────────────────────
株式会社○○ 山田 太郎様
(CC:弊社 佐藤)
────────────────────────────

と、CCの人の名前を書きます。このとき
・社外の方を先、次に社内
・役職は上から順に
・役職がわからない場合は五十音順

というルールがあります。これはビジネスメールのマナーとして業界によらない統一ルールです。

そこで困る「弊社」の表現がない自治体。どう表現すればよいか。

結論「当市」で構いません。

「当市」「本市」という表現2つは厳密に言うと意味が異なりますが、

  • 原則として、メールの(CC:)欄ではどちらでも可(本市と当市はほぼ同じとみなす)
  • 無難にかくなら「当市」を使う
  • 厳密にしたい場合は、市内宛か・市外宛かの発信で使い分ける

というのが、回答です。どちらが正しいかと2択で聞かれれば「無難に書く場合」を想定し、「当市」とお答えしています。

(例)当市の表現を使う場合
────────────────────────────
株式会社○○ 山田太郎様
(CC:当市 佐藤)
────────────────────────────
となります。

ちなみに都道府県の場合は、当県・本県。国の場合は 当省・本省 町の場合は当町・本町となります。
弊省・弊市は、使わない方がよいでしょう。聞いたことないし、違和感ありますよね。もちろん時代によって変わってくる可能性はありますが、あえて「弊社」に合わせるほどの必要性は、今のところないと考えてください。

厳密な当市と本市の違いと考え方

ある自治体の例規集には

・「当市」と「本市」の使い分けは、市が市外の行政機関又は個人に対するときは、「当市」を用い、市内のときは「本市」を用いる。とあります。

つまり、市内在住の市民の方に送る場合は「本市」の表現を、市外在住者には「当市」の表現を使う、ということ。「当」にわたくしども、というニュアンスがあることも理由の1つのようで、この解釈が多いようです。ここまで厳密に使い分けて運用されている方は、多くないと思いますが、市内在住者(市民向け)への通知文には「本市では・・・」と記載していることが、多いかもしれません。

そういう意味では、他の市町村(他の市役所)等に紹介文・通知文などのメールを送るときは「当市」が正しいという解釈になり、市外の企業様とのやりとりの場合も「当市」が正しい表現と読み取ることができます。

当市の方が、本市よりも、へりくだった印象がある?

他市に対するのが本市、貴市に対するのが当市、という考え方もあります。貴市は尊敬語にあたるため、対する当市は謙譲語。そのため、よりへりくだった印象を与えることができます。そのため、相手が、市内在住か市外在住か、わからなければ「当市」を使う方が無難という説もあります。

受信者が混乱しなければ、どちらでもOK

当日(該当の日)と本日(今日)のように、意味が完全に異なってしまう場合、また例規集上や、条例上など法的な解釈が必要な場面では、各自治体によって厳密な使い分けが、当然必要になるでしょう。
しかし、ビジネスメールの宛名、情報共有を図るための(CC:)欄に限った話なので、「当市と本市」で受信者側で厳密に言葉の違いを認識しているとは考えにくく、受信側が混乱されることは考えにくいでしょう。そのため

  • 原則として、メールの(CC:)欄ではどちらでも可(本市と当市はほぼ同じとみなす)
  • 無難にかくなら「当市」を使う
  • 厳密にしたい場合は、市内宛か・市外宛かの発信で使い分ける

をお勧めしています。
法律や条例の運用・解釈を日常的に業務で求められることも多く、1漢字変わるだけで、意味が変わるため、1言の使い方すら最大限に気をつけて使うのが自治体職員のみなさん。そんなみなさんへ、1つの考え方として、参考にしていただけると幸いです。

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