【三宅町様】インタビュー/紙文書の整理から始める自治体DX・業務削減

[これまでの経過]
令和3年度 政策推進課で公文書管理=ファイリングシステム導入
令和4年度    5部署に水平展開
令和5年度 9部署に水平展開/全庁導入完了予定
本取組が、総務省策定の「自治体DX推進手順書参考事例集」に掲載
[インタビュー/ご対応者様]
森田町長
山内係長(導入時、総務課/政策推進課)
松田主事(政策推進課)
辻本主事(税務課)

なぜ、文書管理=ファイリングシステムを導入されたのですか

・森田町長
今の文書管理システムは、きちんとしたルール化を整えないままに導入していて、当時の担当者も電子化への課題と認識していたのが現状でした。
ペーパーレス化に向けて、電子決裁システムや電子ファイル管理を見据えた逆算を考えているときに、複業クラウドのDXアドバイザーとして参画された長野さんのお話を聞いた担当職員から、「これ凄い。整理できます」「紙文書の整理から順番にやりたい」と、取組への要望を受けたのがスタートです。

・松田主事
政策推進課では、令和3年度に試験導入をしました。当時担当でなかったので遠巻きで見ながら、長野さんの話を聞いて、著書も拝見して、やっぱり凄いと感じました。端的に書類が減る・探す時間も短縮されることもありますが、一番刺さったのは「時間の短縮」です。
書類を探す時間が減ったら、その分、もっといろんなところに時間を使えると思ったからこそ、力入れてやるべきなんだと思っています。

昨年10月頃に主担当になってから、MiiMo(三宅町交流まちづくりセンター)の書類管理をサポートをうけながら1日で仕上げました。本格的に書類が溜まりだす前で、業務の流れやタイトルのつけ方。これまでの思考や考えをまとめていき、ファイル基準表まで仕上がったので、あれから増えだした書類をどこに収めるのか、基盤がしっかりできたことはとてもよかったです。

 

これまでの書類管理が変わることに対して、どのように感じられましたか

・辻本主事
税務課は課内のジョブローテーションがしっかりと計画されていて、数年で担当業務が変わります。幅広い税の知識が学べるので楽しいですが、課長のマネジメントのもと、常に引継ぎを意識しています。
今回、ファイル基準表を作成して、探している書類もエクセルなので検索するだけで見つかる・どこにどんな種類の書類が、どのロッカーにあるかもすぐに見つかる。収めるところもすぐわかるので課内で共有がしっかりと出来るようになりました。

ファイル基準表は、順番も工夫しているのですが、最初は何からすればよいのかわからない状態の中、手を止めないで進めてこられたのは、課内のみんなが協力してくれたからでした。課長もこれまで課長預かりだった文書に至るまで共有化のために、書類の集中管理を進めてくれました。

・山内係長
総務課は、文書管理を所管していたので、課題感は持っていましたが、規程と現行の文書管理システムの運用が離れてしまっていて、システムの置き換え時期も決まっていない状態の中で、現場だけがさらに離れる動きがあることに正直不安はありました。ただ、今の状態に固執しすぎたという反省点も持っています。

当時、作業していて一番誤解していたのが、簿冊管理を個別フォルダとファイルボックス管理に変える収納方法の変更が目的だと思ってしまったことです。確かに文書量が減ることは理解できましたが、他の方法もあったのではないのかと当時は思いました。
個別フォルダ化するという、目先のタスクにとらわれて、理解を止めてしまったことも原因の一つでした。

新しい文書管理では、個別フォルダが廃棄年度を持つことで、厚みのある簿冊全体が10年保存とか同一の廃棄ではなく、適切に細かに廃棄までの管理ができる。これは今まで出来なかったことで書庫までの総量を減らすことができると思います。
将来的な文書廃棄が確実にできる、ファイル基準表を見ただけで、どの保存箱に文書が入っているかロケーション管理まで出来る。現行の文書管理システムでも出来ていなかったことができるという点でも、しっかりと取組んでいきたいです。

 

電子決裁システム、ペーパーレス化などの電子化や自治体DXへのイメージはしやすくなりましたか

・辻本主事
ファイルサーバーと紙文書・ファイル基準表を合わせることで、具体的なイメージがわかるようになりました。決裁文書の管理もわかりやすく正しくできると思います。

・山内係長
現行の文書管理システムでも決裁機能はありましたが、添付するデータファイルでは、ファイルサーバーに保存しているデータとの整合性や分類などの整理が難しく、形骸化してしまっていました。今回の文書管理の見直しで視点を変えることができ、5階層での管理を3階層管理にして、ファイルサーバーと整合性をもった整理をすることで、システム選択の幅が広がることは大きな変化です。

具体的には、今後、電子決裁オプションを付けたときに、決裁に添付するデータファイルの管理を、現行と同じくシステムとファイルサーバーの両方で持たせるのではなくて、ファイル基準表をもとに、ファイルサーバーでの管理を前提にします。すると、わざわざオプションで電子決裁システムとファイルサーバーをシステム的にデータ連携させる仕様の必要がないので、選定の幅が広がるのと、必要な機能だけを選ぶのでイニシャルコストが下がると思います。

・森田町長
現場がとてもしっかりと考えて取組んでくれていることに感謝しています。

ここまで見据えるととても効果が大きい、だから取組まないといけない。自治体DXが進みだしたときに、一番注意してきたことは、システム業者が固定化(ベンダーロック)されないことなんです。だから、不要な機能を除くことで、選択肢が増やしてベンダーロックから逃れられること、機能を絞ることで予算削減につなげてくれること等、現場が凄く頑張ってくれています。

次は、ファイル基準表の中の業務の一つ一つの棚卸をしたいです。業務フローをみて、ムダな作業や様式の見直し、データ化で2割程度の業務が減らせると肌感覚で感じています。予算編成方針での業務量削減シートもファイル基準表をベースにどこを減らしていけるかイメージしています。文書管理の改善からの次の展開には軸が2つあって、一つが電子化・ペーパーレス化などのDX化、もう一つが業務見直しや削減。ファイル基準表で業務が一覧化されて、そのチェックで業務量削減だと思っています。

 

導入を終えられ、公文書管理の視点から、どのように感じておられますか

・辻本主事
個別フォルダ単位、ファイル基準表管理で情報量がまとまって、より使いやすく、管理しやすい体制になりました。収めるところが決まっていると紛失につながらないと思います。

・山内係長
文書の発生から保管、廃棄。適切な管理と廃棄には、文書の紛失を防ぐ効果があると思います。
ファイル基準表での文書保管と一覧化で、机の上に置いてしまうことが当たり前だったことや、うっかり引き出しの中に入れてしまうことも予防できると思います。

・辻本主事
ファイル基準表は、文書を一覧化していますが、上から業務の流れで構成しています。
税務課であれば、まず賦課をして通知があって、徴収までの時系列なので、異動してきた職員でも全体の業務がわかりやすくなっています。

・松田主事
時系列ですね。契約でいえば、発注から入札して契約の流れで作っています。
片づけが苦手な人は、公文書であってもつい手元に置いてしまいがちで、本人でもどこに置いたかわからなくなって、もちろん見つかりますが、探しまわるときもありました。ファイル基準表があって、文書は全部ここにあるとわかっていれば、出しやすいし収めやすい、情報公開請求にも対応しやすくなります。
会計検査にも、簿冊を積んでみてもらうのではなくて、ファイル基準表に沿って、必要な文書を個別フォルダ単位で検査してもらえるので、スムーズだと聞いています。三宅町の文書管理で検査員の方から信頼していただけるかと思います。

・森田町長
情報公開請求もファイル基準表で個人情報だけを伏せて、対応できるのは大切。

・松田主事
外部にファイル基準表をベースにした一覧を出すことで、住民の皆さんにとっての公文書=財産になると思います。

・森田町長
この取組は自治体全体に広がってほしい。
やり切ってくれた職員、向き合っている現場に感謝しています。

 

今年から、導入済部署を対象に座学や実践を交えた「維持管理アカデミー」が始まることも踏まえて、導入経験者として今年の部署へのアドバイスをお願いします

・松田主事
導入された部署で担当外の業務の書類が探せるのか検証する他者検索に伺った際に、コミュニケーションの良さを感じました。課内でのコミュニケーションや業務への相互理解は課内だけでなく、さらに課をまたいだ取組として進めてもらいたいです。
今年から、維持管理アカデミーが始まるので、自分たちで説明して、続けられるようにしないといけないと感じています。
いろんな良い特性をもっている職員がいるので、一緒に取組んでいければと思っています。

・辻本主事
今回の文書管理を進めて、1階のレイアウトも変わることになったので住民サービスにつながったと思います。
担当者だけではできないので課内の協力が大切です。研修にも参加されて、いつでも質問ももらえればと思っています。

・山内係長
対話が大切だと思います。
ファイル基準表の完成の重要性を意識してもらいたいです。課内で情報共有をしっかりと行って、どれだけ課内で対話を重ねて、現物とズレなく作るかだと思います。

・森田町長
今後のことも考えて、課内・庁内全体の巻き込みですね。
しっかりとした導入と維持管理で三宅町としての文書管理が盤石になると感じています。

 

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