市役所にメールを送りたい。宛名は「〇〇市」「○○市役所」のどっち?
一般社団法人日本ビジネスメール協会認定講師 元市役所職員、長野ゆか です。
宛先は「〇〇市」か「○○市役所」か
先日、就職活動中の方から、市役所の人事課メール送りたいのですが「〇〇市役所 人事課」「〇〇市 人事課」どちらを書けばいいですかと質問がありました。ここに気が付くと…悩むでしょうね…。「〇〇市じゃないの?」と思ったのは行政の方、「〇〇市役所じゃないの?」と思ったのは一般の方。さて、どう考えるべきかご紹介していきます。
結論から言えば、どっちでもOK
いきなり元も子もなくて、申し訳ないですが。法的な文章ではなく、あくまでビジネスメール上の宛名。どちらでもOKです。
実際どう違うの?
実は「市役所」というのは、行政サービスを行う為の組織/建物・場所そのものをさします。
1、市役所=市役所の建物・場所
2、市役所=組織ー行政サービスを行う1つの自治体
3、市=2と同じ
4、市=人の集まりとしての単位(〇〇市に住んでいます)
だから、1の意味で送ったとしても2の意味で解釈されたら同じ。3を書いても、2と同じ。ゆえに、メールの宛先はどっちでもいいです。
(※厳密に法的に解釈すれば2と3が完全に同じとは言いきれません、あくまでビジネスメール上の宛名、一般的な解釈として)
職員さんになじみがあるのは
圧倒的に2です。相手も自治体の職員なら、〇〇市の○○です、と名乗り先方にも △△市△△様 と書く方の方が多いでしょう。私は外部の方からこれでメールをもらうと「ツウな人だな」という印象を受けていました。「〇〇市って書いてる、あぁ、ここの企業の自治体担当部門の人たちか」とか。「〇〇市役所○○課〇〇様」のほうが自然体な感じがしていました。(これは本当に個人的な感覚)
受け取る側も、特に気にしていない
直接住民とやり取りする仕事が多い、○○市と市役所の定義の違いをどんなふうに理解しているか等、職員さん個々人の感覚によるところ。全然気にしていない人もいると思います。だから、一般の方がメールを送るときには「○○市役所」で十分ですし、逆に「市役所と市の違いを知っています!」というアピールしたければ「〇〇市」でよいでしょう。
逆に「〇〇市と書かなければ、絶対おかしい!」という方が、行政職員の感覚を一般の方に押し付けている感があります。そして受け取る方に、私みたいな「メールの宛名の書き方」を注視しているような人は稀だと思います。つまりみんな、そんなこと特に気にしていない。それよりずっとメールの中身が大事ですから。
郵便物は「〇〇市役所」と書くことを思えばシンプル
あと考え方として、建物そのもの、その場所に到着しないといけないといけないので、郵便物は「〇〇市役所○○課〇〇様」と書きます。「〇〇市」ではそれこそありえない。封筒の表書きの宛名=間違いなく思う相手に届けるため。メールも「あなたに届けています」とわかればよいのです。
職員さんから一般の方への名乗りは「〇〇市役所」と書いてほしい
余談になりますが、職員の方が住民の方へメールを送るときの名乗りは「〇〇市役所」の方が親切でしょう。「〇〇市の〇〇です」と、名乗りたくなるのは分かるのですが、〇〇市は上記「3」の認識が大半で、○○市役所に勤めている人、とは一瞬では繋がりません。
住民側からすると「(私も)〇〇市(に住んでいる)の〇〇ですけど」と。電話のケースでしたが、この名乗りに苦情があったと、お聞きしたことがあります。ビジネスメールの名乗りで重要なのは「自分がどこのだれか、瞬間でわかること」なので、〇〇市役所〇〇課〇〇です、と名乗ってあげた方が、住民の方にはわかりやすいでしょう。
宛名について、不安な人は
どーしても、それでも不安だと。これだけどっちでもいいとお伝えしていますがそれでもどっち…!という方は、電話かけて聞いてみるといいと思います。「貴市にメール送りたいのですが、宛名は ○○市・○○市役所どちらがよいでしょうか」と。
「どっちでもいいですよー」とか、「〇〇市の方が多いですね」とか「〇〇市役所、でいいですよ」で返事もらえたら、安心してメール書けますよね。この電話一本は、お互いに無駄な手間なのであまりお勧めしたくないのですが、それでももし1時間も悩むくらいなら、30分以上ネット調べまくるくらいなら。電話一本30秒で解決してしまいましょう。メールと電話、上手にビジネスツールとして両方使ってくださいね。
職員さんから一般の方への視点ではこちらをぜひ
上記の内容も含め、職員さん向けには、著書:こちら「この1冊で安心!!新人公務員のメールの書き方」にも「名乗り」でご紹介しています。ご覧くださいね。
関連記事