弊社の官民連携事例が『地方公務員月報』に掲載されました

テーマ「DX人材の確保・育成」寄稿 奈良県三宅町政策推進課職員 様

『地方公務員月報』2024年5月号(バックナンバー730号 総務省自治行政局公務員課 編)に、奈良県三宅町 みやけイノベーション推進部政策推進課職員様が寄稿の記事が掲載されました。

三宅町での官民連携、DXへの取り組み事例を紹介した記事の中では、オフィスミカサとの官民連携によるファイリングシステム導入のきっかけや成果が、8ページにわたって記載されています。以下、主要なポイントについて部分的に抜粋しご紹介いたします。

冊子詳細
第一法規株式会社 地方公務員月報

 
以下要約(部分抜粋)

官民連携で顕著に成果が見られた「業務効率化・改善」

・第1弾「人事・採用戦略」「DX」「広報戦略」3分野 7名を登用、四ヶ月の実証実験
・第2弾「外部CFO」「政務」「業務効率化・改善」「マーケティング」の4分野8名を登用
・この中でも顕著に成果が見られたのが「業務効率化・改善」の分野
・具体的には、書類の整理を行い、ファイリングシステムの手法を用いて公文書の管理を適切に行えるようにすること
・単なる書類の片付け、書類整理だけでなく、文書管理を実施。管理の方法を一元化・標準化することで業務の効率化を図る

これまでの課題

書類の管理は属人的な要素に頼っていた部分が大きく、担当は書類の所在がわかっていても、他の人にはわからないことがあった。担当が休んでいるなど不在の時に、急に書類が必要になった時に書類の捜索が始まるとなると、書類の在処を探すのに時間がかかる。

仮に二人で10分探したとしたら、計20分の時間が費やされたことに。そうすると、執務時間内に収まるはずだった業務が時間外に行うおそれが出てきたり、翌日に持ち越しされるなど、業務効率は落ちることになり、そのような管理の方法を行っていては、公文書の紛失に繋がるおそれもある。

効果があらわれ一部署から全庁実施へ拡大、文書管理システムの前捌きに

目に見える形での改善がなされたこともあり、全庁的な導入を決定、目前に迫っていた文書管理システムの更新に伴う前捌きとして、DXの一部としての役割を担う。

職員アンケート「共有が進んだ、負担が軽減された」という声

実際、書類整理の取り組みを通じ、職員からは「各担当者の持つ業務の細かい部分まで知ることができた」「書類を探す手間や綴る負担が軽減されて使用しやすくなった」等、単なる書類の片付けだけではない効果も実感できる声が上がってきており、何よりも「もっとこうすれば、より良い管理ができるのではないか」という前向きな姿勢が見られるようになった。

  • 職員アンケート (一部抜粋)

    ・各担当者の担当業務について、細かい部分まで知ることができた。
    書類を探す手間や綴る負担が軽減されて、使用しやすくなった(業務改善)
    不要な書類の中に、必要な書類が埋もれなくなった。
    ・担当事務の書類整理をすることで、担当外の書類を探す時の効率も上がった。
    ・細かく区分されているため、書類を見つけるスピードが速くなった。
    文書分類の整理について、課員の共通認識ができたことに成果があった。
    ・個別フォルダ化以外にも書庫整理や執務室内整理など行うきっかけになった。
    スペースに余裕が出来て、ロッカーの見栄えも良くなった。
    今までできていなかった手つかずの書類(マニュアルなど)を整理、廃棄することによって課内の収納スペースの整理ができた。
    課内での書類に対する意識は変わったと思う。

書類整理から文書管理へ

DX、デジタル・トランスフォーメーションについての定義を自治体に置き換えた場合に重要なことは、デジタルを導入・活用することではなく「業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争性の優位を確立すること」にある。

1,デジタルの導入・活用はあくまで手段であり、それ自体が目的ではないということ、2,目的は業務だけではなく、組織、プロセス、組織文化・風土の変革を行い、時代の変化に対応できる体制を築くこと、にあるといえるのではないか。

毎年、常に最善の方法を全職員で考える仕組み

書類整理の取り組みとして考えると、書類整理を全庁統一で行うということは、すべての職員が取り組みについて知っている必要がある。すべての書類について目を通し、文書の保管・保存について考える中で、他の業務を担当する職員や管理職と一緒に話し合いを行う。
その作業過程でコミュニケーションが生まれ、前例踏襲ではない、今考えられる最善の方法を導き出すこととなる。

最善を導き出すことを前提に構築された文書管理システムは、機能を十分に発揮させることができる

この作業は今後毎年行われ、業務効率化や適正な公文書の管理について考える必要がある。この取り組みを前提に構築されている文書管理システムの運用においては、その機能を十分に発揮させることができ、アナログとデジタルを通じた全庁的な文書管理を行うことが可能になるといえる。

継続的な取り組みのために、維持管理研修を開始

この取り組みを一時的なもので終わらせないために、令和五年度からは維持管理の研修を開始。一年かけて整った文書管理が、次の年度から崩れてしまわないよう、講義では「なぜ、文書管理を行うのか。」という目的意識についての座学や、さらなる改善を図るためのグループワークを行います。受講しているのは、各部署に置かれている文書管理主任等のリーダー的立ち位置にいる職員。

全庁的な文書管理を行える体制づくりのための人材育成

受講者は自部署の文書管理の中心を担い、他の職員に管理の指導等を実施。今までは、おおまかな文書の保存場所や方法はあるにせよ、基本的には個人の技量に任されていた部分があったが、人事異動や新採職員が配属されたときに、その職員に対しきちんと指導できる人材を育て、全庁的な文書管理を行える体制を構築すること。そして、後進にも受け継いでいき、絶えず考えながら、その時々の最善の方法を模索していくことを目的として実施。今後は、職員だけで自立して書類整理、文書管理が行っていけるような庁内での研修なども予定。

「当たり前」を疑問視、非効率なことや無駄なものを排除、本質から考えること

職員がしっかり組織としてのビジョンを共有した上で、しっかりとした目的意識をもたないと、ただデジタルを導入しただけで、トランスフォーメーションには至りません。これはデジタルを導入する場面以外にも言えること。 職員や組織が全体として、風土を変革し、優位な競争性を有するために、日々研鑽を積み、対話を重ね、未来を見据える必要がある。

風土が変わったから職員が自分から研鑽するのか、研鑽したから風土が変わるのかは難しいが、まずは一人でも二人でも、そういう職員が増えれば空気は変わっていく。それが増えれば増えるほど、変革の渦が大きくなっていくため、取り組みは続けなければいけない。

今までの「当たり前」を疑問視し、本質から考える。本当に必要なものは何かを考えて、そこにリソースを割く。そのためには非効率なことや無駄なものを排除し、考える時間が必要。そのためにDXは必要なものと考え、本質をとらえた人材育成の取り組みが求められる。
 
 
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